連載企画「太陽熱を活かす三原則」

 

 「蓄熱」-5   

 

「まとめ」

「太陽熱を生かす三原則」も、今回の「蓄熱」-5を持っていよいよ最終回に成りました。

「断熱」「集熱」「蓄熱」がこれからの社会にとって
とても重要であることを分かっていただけたと思います。
「断熱」は壁や天上や床に断熱材を入れなければならない、ということが、
やっと常識に成りつつありますが、総合的な断熱、部分的な断熱対策となると、
まだまだ徹底されていないのが現状だと思います。それは、本当の意味で
エネルギーの大切さがまだ理解されていない部分があるからだと思います。
原発が止まろうが、産油地で問題が起ころうと、
金さえ出せばまだまだエネルギーは幾らでも買える状況だからです。
まだ、殆どの人はエネルギーの実態を意識することなく、
単なるランニングコストとしてお金に置き換えて見ている事が出来るのです。

未来の社会を創造し、思いやる気持ちがない限り、現在の状況に流され、
それを変えることは中々難しい事なのだと思います。
オゾンホールの問題、化石燃料を燃焼させ消費してしまう問題、
温暖化の問題・・・・そして、原発事故が止めを指すことなのだと思います。
如何に、エネルギーが無くてはならない大切な物であるかを、
いやがおうにも考えさせられることに成りました。

エネルギーがランニングコストであり、お金であるだけで済ませられるなら、
実際のエネルギー源が何であろうと、どうでも良いことです。
とは言っても、莫大な金を使い、複雑で、安全性も担保されない
単なる湯沸かし器の原発に頼る訳には行きません。
今回それが良く解りました。

エネルギーは私達が快適に過ごすためには欠かせません。
特に、熱エネルギーは私達が活動する空間の基本的な性能を左右する至って大切なものです。
熱エネルギーにより作られた温熱空間で、私達は生きています。
地球上は太陽熱によって作られた最も大きな温熱空間です。
熱エネルギーだけなら、電気やガスなどの頼らず、太陽熱エネルギーを考えるべきです。
地域によっては地熱も使えます。
特に熱を使うのであれば、わざわざ電気エネルギーを使う必要はありません。
ましてや原発で起こした電気などもってのほかです。
太陽熱エネルギーで十分足りるはずです。

太陽熱エネルギーは、無くなることはありません(但し、50億年後は分かりません)。
二酸化炭素を含め、どんな有害物質も発生しません。
使うのは誰でも自由です。
誰が、どんなに使っても太陽から来るエネルギー量が減ることはありません。
得られた熱エネルギーにお金は掛かりませんし、太陽熱源のメンテナンス費用は一切掛かりません。
同時に光エネルギーも使えます。
凸レンズや凹面鏡で絞り込むと、何千℃にもすることも出来ます。
太陽熱エネルギーは至って便利で、ローカルで、民主的なエネルギーです。

但し、球体である地球上に降り注ぐエネルギー量は、
緯度により異なると同時に、天候によっても大きく左右されます。
また、地軸が23.5度傾いて公転している事により、一年中少しずつ変化もします。

その為、地域によって利用出来るエネルギー量は少しずつ違っています。
利用方法も地域によって工夫する必要があります。
しかし、太陽熱エネルギーを利用し、快適な温熱環境を作るための基本は何処も同じです。
それが「断熱」と「集熱」と「蓄熱」です。
         風船
どれ一つが欠けても太陽熱エネルギーを利用して快適な温熱空間は作れません。
今、世の中は、やっと断熱材について動き始めて来た程度です。
ペアガラスもほぼ常識化してきましたが、ほんの一部を除き
「集熱」を考えて設計されている家はありません。
ましてや「蓄熱」つまり「熱容量」に対して考慮した設計はほとんど有りません。
「蓄熱」は太陽熱エネルギーを溜め込むだけが仕事ではありません。
夏の夜間の低温を利用するためにも
「蓄熱」(夏の夜間は蓄冷)させる機能を家の中に備える事は至って重要な事です。

現在、殆ど原発は動いていませんが、日本の社会は大したダメージは受けていません。
危機感を作り上げようとして騒いでいるのは、ほんの一部の推進派だけです。
原発が無く、二酸化炭素の排出の無いエネルギー社会を目指すために、今から、出来るだけ
温熱環境を作るためのエネルギーは太陽熱エネルギーで自前する必要があります。

その為に、「断熱」「集熱」「蓄熱」機能を家に持たせることは欠かすことが出来ません。
そんな家々が建ち並ぶ社会が
人類が求めてきた理想社会の基礎になるのではないでしょうか。

(終)