連載企画「太陽熱を活かす三原則」

 

 「集熱」-4   

 

「やってはいけない夏の集熱」

集熱2で少し書きましたが、
夏のやってはいけない「集熱」についてもう少し書いてみたいと思います。


冬には幾らでも欲しい太陽熱(太陽「光」は何時でも必要です)も
夏には全く厄介物であるばかりか、冷房エネルギーを大量に消費させる元凶になります。
但し、給湯用と調理用は、勿論、夏でも必要とします。
必要無い集熱は飽くまでも、夏なのに暖房状態を作り出す太陽熱のことです。

ご存じのように、太陽からは色々な光の成分が放出されています。
その内、私達に必要な成分は明るさになる可視光分と、熱になる赤外線の分です。
紫外線も多少入って来ますが、大量に浴びると健康には良くないのはご存じの通りです。


余談ですが、大昔、地球の周りにオゾン層は有りませんでした。
その為、地上には強烈な紫外線が降り注ぎ、生物は住めない場所でした。
そうこうしている内に、海の中の生物の光合成により大量の酸素が空気中に放出され、
それと共に地球の上空に紫外線を吸収するオゾン層が形成されるようになりました。
その結果、地上にも私達生物が住めるように成った訳です。


話を元に戻します。
この様に紫外線は殆どいらないのですが、暑さをもたらす夏の赤外線も、
ほどほどにして欲しいものなのです。とは言っても地球上に住んで居る以上、
太陽エネルギーはどうしても必要ですし、多すぎる場合は自分自身で防いだり、
利用したりと都合良く使い分ける必要が有ります。

この連載は省エネと自前エネを徹底的に利用することを目的に書いています。
詰まり、太陽エネルギーだけで快適に生活出来る住まいを作ることが中心にありますから、
省エネの観点に立ち、冷房エネルギーを使わないで済む方法を知らねば成りません。
そんな意味で「集熱」と「non集熱」を同じ項目に起きました。

「non集熱」を徹底に行う為には、夏の太陽熱がどこから、
どうやって入ってくるのか、知る必要が有ります。
一般的には夏の日差しを防ぐ為に庇をきちんと出すということが行われています。
この方法は結構本命のように思われていますが、先ず、
開口部が南を向いている、という限定付きです。
東や西向きの窓では、殆ど何の意味もありませんし、
太陽が東や西に傾いている時 にも 何の役にも立ちません。


窓から入ってくる熱線は太陽からの直射光だけではありません。
隣の屋根や壁の反射光も入って来ますし、
庭のテラスのコンクリートで反射した熱も入ってきます。
それに加えて、それらは必ず温められてしまいますので、
二次輻射として、そこからの熱も入って来ます。
それに「天空輻射」というのもあります。
これは空気中の塵や水蒸気などにより拡散された光のことを言います。
これがある為に、雲で日差しが遮られている様に見える曇りの日でも気温が上がってきます。
これら直接、間接の太陽熱を窓から入れない為には、
タープ、植物フェンス、ルーバー、スダレ、よしず等で防がなければ成りません。

夏のお呼びでない熱が入ってくる所は窓だけではありません。
屋根を通して、壁を通して熱は入ってきます。
但し、屋根や壁を通して入ってくる熱は、窓から入ってくる輻射熱と違い、
じわりじわりと物を伝わって入ってくる伝導熱です。
これを防ぐ為には断熱材が欠かせません。冬に室内の熱を逃がさない為に
しっかりと断熱材を入れておくことは、夏にも大いに役立ちます。

一般的に断熱材の厚さは 断熱基準の早見表を見て決めていますが、
これは主にこれは暖房の熱が外に逃げる事に対しての基準です。
夏の屋根や壁に当たった太陽熱がどのくらい入るかということは、
改めて考えねばなりません。ですからこの断熱基準に沿っているから
大丈夫だと簡単に決めてしまってはいけないと思います。

本当の省エネを考えて行くのであれば、断熱材の基準というのは、
実は冬だけではなく夏も屋根からの熱を防ぐ為の断熱材の性能を考えなければ成りません。
勿論、屋根材による反射率の違いや、
空気層を持たせるなど構造の違いにより断熱材の厚さは一概に言えませんが、
昔から茅葺き屋根が1メートルばかりあること考える必要が有るでしょう。

従来のように家を閉め切りにしてクーラーをガンガン効かせて中だけを涼しくする、
という考え方であれば、冬を基準にした断熱で十分なのでしょうが、
化石や原発エネルギーに頼らない社会を目指すのであれば、夏を基準にする必要が有ります。
 
この様にこれらのメカニズムを知った上で、
夏には窓から「non集熱」、屋根・壁からの「non集熱」対策をしておかなければなりません。

日差しを防ぐのに庇だけなどと言わず、あらゆる手段を使って、
どんな些細な熱も「non集熱」にすることが大切です。




次回をお楽しみに・・・。