15.断熱の意味 〜冬の断熱〜
冬の対策を考えますと、先ずは十分な断熱が何にもまして当然必要です。予算として最優先に考えるべきだ
と思います。断熱と熱容量が十分であれば、暖房設備がいらなくなる可能性はあります。これは、温度をわ
ざわざ上げるための設備がいらないということであり、エネルギーがいらないと言ってるわけではありませ
ん。断熱が十分であれば、先ほどご説明しましたように、自分の体から出ている熱、人間は発熱体、熱源な
わけですから、そういう熱や照明からの発熱、そして勿論直射日光を貯め込む事などにより十分暖房は可能
です。つまり暖房設備なしにすることも可能なのです。考え方としては、これが基本です。家の熱性能のこ
とを考えずに安直に床暖房だとかいうのは、あまりに知恵がなさ過ぎます。
ちょっと話がずれますが、断熱の意味を知るための、わかりやすい例として、暖房のランニング・コストに
ついて触れましょう。私は床暖房の仕事をしている中で、良くあるパターンは、一般の方もそうですが、設
計士の方と話をしていても、「イゼナの床暖房の電気代は安いですか」という話が良く出ます。これは熱の
ことをかなり誤解しているんですね。電気代は住まい方にもよりますが、基本的には建物の熱特性で全て決
まるのです。つまり、電気代はイゼナの床暖房が決めるのではなくて、建物の断熱特性をどこまで配慮して
設計したかによって決まるのです。今まで、今でもそうですが、暖房機を出しているメーカーは「10畳でラ
ンニングコストはいくらです」と言っているから、『ランニングコストは設備機器が決める物だ』という全
く間違った知識が蔓延してしまったわけです。
例えば、外が0℃で室内が18℃だとしますと、熱は外の方向に逃げようとします。18℃を維持するためには、
逃げていく分の熱を、補充してやらなければならないです。では、どのくらい補充するかというと、その家
の断熱特性により違うのは当たり前です。熱の逃げ方が違うからです。断熱とは、外に逃げてしまう熱の量
を出来るだけ少なくしてやることです。断熱材を正確な施工で十分に入れれば、逃げる熱の量がどんどん少
なくなります。しかし、断熱というのは壁に断熱材を入れさえすれば良いというわけではありません。
実は、開口部の断熱性能を上げることは、壁のことよりもっと大切なんです。開口部の大きな家では、大量
の熱が開口部から逃げてしまいます。開口部にいくらペアガラスを使ったところで、あまり大きな効果は期
待できません。ペアガラスは壁に比べると断熱特性が著しく低いからです。
開口部にはカーテン程度の配慮でなく、もっとしっかりした断熱構造を考えた方がよいと思います。例えば、
室内側の断熱戸とかを利用して、昼間せっかく貯め込んだ熱を逃がさないようにするなどの工夫が必要でし
ょう。もし開口部を大きくとるのであるなら、それをカバーする十分な仕組みもちゃんと備えなければいけ
ないと思います。
これからの住まいの省エネを考えるのであれば、まず最低限、断熱に配慮しなければならないことは再三申
し上げています。これが先ず、冬対策で最もやらなければならない事です。
それでは断熱材を入れるとはどういうことなのか、どんな効果が実感できるのかお話ししたいと思います。
断熱材を入れると、熱の逃げる量が減り、ランニングコストが安くなることは当然のことと理解されるでし
ょう。
ですが、断熱材の意味にはもう一つ重要な点があります。それは寒い冬場に体から過剰な熱が奪われないよ
うにして快適な住まいを実現することです。結果的には、快適な住まいを追求することが、エネルギー消費
量を減らし、環境に対するダメージも減らすことになるのです。こんなおいしい話はないですね。断熱にお
金を使うことは、快適な住まいを実現し、ランニングコストを減らし、さらに二酸化炭素の排出量を少なく
するという三重の快適さを得ることになるのです。
断熱材をしっかり入れると、先ほどご説明したように、部屋を構成しています、面の温度、壁、天井、床の
温度が下がりません。ですから当然 壁面の結露などは全く発生しません。壁面の温度が下がらないという
ことは、最大でも室温なわけですけど、室温に近い温度面で囲まれていることになります。そうすると、室
温だけをどんどん上げる必要はなくなるのです。18〜19℃で良いと思います。人によっては17℃でも良い
と思います。暖房効果は、温度計で測る室温だけでは全く決まらないのです。今までは断熱特性は悪いし、
すきま風はあるし、室温で見るしかなかったんです。暖房感覚は空気温度と周囲面温度との相乗効果なので
す。ですから断熱材を入れる必要があるのです。
良く例に出されますが、冬の縁側で気温が1〜2℃でも太陽からの日射を直接受けていますとまったく寒くあ
りません。周りの床や壁も日射で温まっているので、そこから出る輻射も受けているため、まったく寒く感
じないのです。
開口部の断熱の大切さは先ほどお話ししましたが、開口部が大きければ大きいほど、そこの断熱の配慮が大
切になるんです。これは実は結構大変なことです。いくら、壁部分の断熱がしっかりしていても、開口部の
割合が多くて明るい家であれば、あんまり意味が無くなります。ペアガラスを使ったぐらいでは、断熱特性
はとても壁には及びませんので、かなり温度の低い壁面と生活しなければならなくなるので、断熱障子や室
内断熱戸や断熱雨戸などを複数使うなど、かなりの配慮が必要です。
ご理解いただけましたでしょうか。21世紀の住まいとしてはまず十分な断熱が最低限必要です。
断熱性能が悪い家はエネルギーの消費が増えるばかりか、室温を上げなければならないので、それは外気温
との温度差を大きくすることにもなってしまい、快適さも得にくく、健康的にもプラスではないと思います。
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