入ってきた熱により温められた空気や海水は軽くなり対流が起きます。それが熱を速やかに分散させているので
す。それと同時に、対流の仕組みが、熱を宇宙に捨てているのです。また、一方で余分な熱の一部は温められた
大地から直接宇宙に放射して出て行きます。だから安定した熱の環境の中で、私達は生きていられるのです。
ですから、様々な気象変化というのは、地球上の熱環境を均一にする働きと、熱を宇宙に捨てる働きが現れてい
る現象ともいえます。このことが地球を住みやすくしてくれるメカニズムといえるものなのです。雨も、風も、
台風も、雷も、雪も、私達の地球を住みやすくしてくれる、自然の仕組みの現象なんです。ただし、それがまさ
に薄皮のような表層の中で行われている、とてもデリケートな現象であることを私たちはあまり意識していませ
ん。雨ももっと味わい深いものに見えてくるでしょう。
こういう認識を私達は先ず持つ必要があると思います。その上で、初めて省エネのことを考えることが出来るの
だと思います。私達は一つの有限の大きさの、とてもデリケートな体系の中で生きているという認識から出発し
ないと、「省エネ」という問題の本質的な解決策を見つけることが出来ないのではないでしょうか。

                                            2001年2月改訂

施工写真

1.イントロダクション 〜省エネルギーへの視点〜

 私は「アクアレイヤー・ヒーティング・システム」という
 床暖房システムを開発しました。それは、新しい床暖房な
 のですけど、今まででいう「設備機器」ではなくて、「熱
 部材」といっております。「機器」ではなくて「部材」な
 んです。構造部材とか、屋根部材とか、仕上げ部材とかい
 う建物を構成するために必要な基礎「部材」ということで
 す。それを、床暖房的に使う事が出来るんですけど、今ま
 での床暖房が持っている欠点を、ほとんど全て解決してあ
 ります。

 「熱部材」というのは、特に熱容量の少ない木造の家の床構造の中に熱を貯め込む役目と、その熱を均一に分配
 する役目を持っています。つまり、基本的な考え方は、これからどんどん普及させていって欲しい「パッシブソ
 ーラーハウス」を構成するための、一つの部品ということなんです。現在それを製作して、販売、施工をする会
 社を細々と経営しているのですが、営業の方法はご連絡いただきますと、初めて訪問して説明をしています。興
 味があり、検討してみたい方だけに説明しているわけです。その時に、売り込むような話をするのではなくて、
 『これからの社会では、どの様な視点から家を考えればよいか』をお話します。今回は、そんな話を、改めてま
 とめてみました。

 私たちの未来のことを考える時、地球の現実をイメージする事ができるととてもわかりやすくなると思います。
 海の深さの平均は3500mぐらい、対流圏は10kmの高さまで、オゾン層の最も密度の高い部分は高度約30kmで
 す。地球の直径を1mとしますと、海の深さは0.3mm、ジェット機が飛ぶ高さは地上から0.8mm、オゾン層の中
 心までは2.4mmしかありません。このように、私達の命を支えている空間部分は地球のほんの上っ面の表層で、
 ひどく繊細なものなんです。
 省エネの意識の原点は、先ず、このような認識が必要だと思います。

 それともう一つ持たなければいけない認識は、地球の温度環境がいたって安定しているということです。夏、冬
 の温度差はありますけど、月など他の天体に比べますと、いたって安定した熱環境です。だからこそ私達は生き
 ていられるといってもいいでしょう。地球は、月と同じように太陽からのエネルギーに曝されていますが、月み
 たいに、温度が急上昇したり、急下降することはありません。それは、太陽から入ってきた熱を、うまく地球上
 に分散させるメカニズムが備わっているからなんです。太陽から地球に入って来た熱と、出て行く熱は当然一緒
 です。そうでなければ温度が上がり過ぎるか、下がり過ぎるかしてしまいます。
 そうならないのは、空気と水の存在のおかげで、それらが自然の法則に基づいて、対流を起こしているからなの
 です。

はじめに